
も、環境情報学部の「人間環境コース」に設置されている科目をざっと眺めてみると、そこには住民・市民サイドから環境問題を批判的に考えるというよりも、企業サイド、行政サイドに立って「環境を管理する」という色彩が濃厚である。しかも、同学部が人文科学と自然科学との総合化を志向しているためか(これはあくまでも私の印象だが)、先に指摘したように、社会科学的な視点が全体に希薄であり、それは環境問題を総合的に考える上で、大きな問題を残すのではないか。
環境情報学部の問題に深入りしてしまったが、総合政策学部のカリキュラム編成はその後の政策系学部のモデルとなっただけあって、政策学(政策科学)系科目を中心に、政治学・行政学・経済学・経営学・国際関係論など実にバランスがとれている。中央大学総合政策学都を除き、政策系学部がすべてセメスター制(従来の通年4単位講義に代って、半年2単位講義をべースとする)をとっているのも、大学審議会の答申だけでなく、慶應の影響が大きいのではないか。セメスター制をとっている以上、科目はかなり細分化、多様化しており、さながら社会科学のデパートの観すらある。もう少しいえば、全体的に環境福祉・都市計画などの政策課題に対応した応用的な科目が少なく、政策科学(政策学)の基礎科目に重点が置かれ、それ以外は既成の社会科学の各分野に対応した比較的オーソドックスな科目が並んでいる。ここに同学部の先進性と保守性を同時にみてとることができる。
SFCの総合政策学部では、「自然言語と人工言語、2つの基本技法を身につける」という趣旨から、1.2年次では外国語科目(1か国語)と情報処理が重視される。ただし外国語はともかく、情報処理についてはマスコミで報じられるほどインテンシブな訓練がされているようには、カリキュラム上からは思えなかった。むしろ、学生が進んでパソコンを修得し利用することを促す方向でキャンパス全体の設計や授業方法がなされており、学生が自主的にパソコンを使いこなしているといった方が正しいのではないか。
次に1・2年次のカリキュラムで目立つのは「パースペクティブ科目」と銘打たれた従来の一般教育科目がかなり重視されていることである。パースペクティブ科目(前述した「情報処理」も含む)を1・2年次で28単位以上修得することが義務づけられている。パースペクティブ科目には専門科目の導入的な科目もあるが、最初の専門科目である「総合政策学」が1年秋学期以降になり、政策過程論など政策学の中核科目(学部内専門科目)の履修が2年秋学期から3年になってしまうのも、一般教育重視の結果といえなくもない。3年次から総合政策学部は、「政策管理コース」「社会経営コース」「国際関係コース」
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